いざ解約となると契約関係がよくわからず苦労することに
残務整理については、まずは料金が継続して発生しないように、本社・支店・店舗の様々な解約手続きを始めた。
危なかったのは、残務整理に必要な、電話、ファックス、インターネット回線およびプロバイダー(メール含む)の契約を、必要がなくなったものと一緒に解約してしまうところだった。
当社の場合、支店や店舗で電話やインターネット回線の契約が複数あり、請求書に記載されている番号が電話電話なのか、POSに使われているものなのか。複数のインターネット回線のうち、どれがどこで使われているものなのかなど、とてもわかりずらくなっていた。
きちんと本社・支店・店舗別の契約の一覧表を作成しておくべきだったことを改めて思い知らされた。
そして宅配便は債務整理開始時点で未払いが残っていたので、配達には来ても荷受はしてくれない。
そこでビル内にある営業所に持っていき、現金で支払って出荷することになった。
思いがけない家主の反応への苛立ちの矛先は、弁護士に向けられた
次に重要な残務整理として、リースやレンタル品などの引き上げの調整と、立い会いのための連絡を始めた。
店舗での引き上げの立会いは社員の皆に手分けして行なってもらったが、その際、とても大変な思いをさせてしまった。
引き上げの立会いのため、事前に弁護士から家主に対して店舗への出入りを承諾してもらう連絡を入れてもらっていたが、社員が店舗に到着すると待っていた一部の家主が「いつになったら原状回復してくれるのか?!」と社員たちに詰め寄ったのだ。
多くの家主は「突然債務整理が通知され家賃は入らない。保証金・敷金は預かっているが、解約予告期間の賃料と原状回復費用をこの中から支払うとなると足りない。早く原状回復してもらって、次ところに貸したい。」というのが本音だ。
ところがまだ会社の方向性が決まっていない。いつ原状回復費用を支払えるかという確約もできないし、ましてや社員たちが答えられるものではなかった。中には
「きちんと説明を聞くまで入室させない。」
という家主もいて
「家主がどうしても中に入れてくれないんです。社長来てください!」
と悲鳴にも似た電話を掛けてくる場合もあり、ぼくがすぐに現場に向かうこともあった。
そんな、なかなか進まない状況に社員たちの苛立ちもピークに達していた。
その苛立ちの矛先は弁護士に向けられた。
「弁護士がきちんと説明してないからじゃないか。それが弁護士の仕事だろ。こんな弁護士ではダメだ!」
というものだった。
しかし債権者に債務整理開始の連絡してからの弁護士もまた大変だった。
連日、債権者や、債務整理を知って一部の事業を買い取りたいという人など、様々な問い合わせが弁護士事務所に入っていた。
それに対して弁護士も精一杯対応し、その調査と返答に追われていた。
このような混乱の中、なんとか社員をなだめながら業務を進めていった。
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