嬉しかった、楽しかった思い出が、次から次へと溢れてきた
事業の停止から約10ヶ月、破産申立から約9ヶ月、裁判所から「破産手続廃止決定」が出されたと弁護士からメールがあり、静かに破産手続きが終了した。
この頃には新しく始めた仕事もだいぶ落ち着き、事業停止前後の記憶が少しずつ薄れ始めていた時期だった。
これで終わったんだな。
と思ったら、身体から力が抜けていく感覚とともに
3人が入るといっぱいになってしまうような狭いスペースで、後輩3人とスタートした頃の、希望に満ち溢れていたこと。
始めて契約が取れた時の歓喜の瞬間。
念願だったお店がオープンした時のフランチャイズオーナーの嬉しそうな笑顔。
30店舗達成の時にパートナーの人たちも誘って開催した屋形船での宴会。
社員総出でおこなった大きなオフィスへの引っ越し。
増資が決まってベンチャーキャピタルの担当者と喜び合ったこと。
社員の家族や恋人も参加して行っていたクリスマスパーティー。
新規事業のパートナーのところに研修に行っていた際の、ランチで食べた宅配ピザとコーラの美味かったこと。
など嬉しかった、楽しかった思い出が、次から次へと溢れてきた。
後日、法定で一定期間保管しておかなければいけない書類が入った大きな段ボール箱が2つ、弁護士事務所から自宅に届いた。
「会社が存在していた重みを忘れるな」とでも言うように、今も部屋の片隅に確かな存在感をもって積まれている。
おわり
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