ベンチャーキャピタルによって特徴はさまざま
取引先からの増資が一段落した後は、ベンチャーキャピタル(VC)に向けた投資勧誘をスタートさせた。
必要な資金の調達が、取引先や事業会社、または銀行融資でできるのであれば、VCからの出資の受け入れをしないに越したことはない。
というのは多くのVCはお金を出してくれても知恵を出してくれるわけではないし、また上場後に安定株主になってくれるわけでもないからだ。
しかしまだ事業が十分に育っていない、銀行が大きな資金を融資してくれないステージで出資してくれるVCはとても有り難い存在だった。
多くのVCと知り合えたのは、顧問となった公認会計士や、取引のあった銀行が関連のVCを紹介してくれた。
また一旦VCと会うことができると、親しいVCを紹介してくれることもあった。
VCには銀行系、証券会社系、事業会社のグループ、独立系など様々なところがあり、それぞれ特徴が異なった。
出資してくれた上場している独立系の大手専業VCは、リードベンチャーになり、他のVCに声を掛けて増資に協力してくれたり、提携先を紹介してくれるなど積極的だった。
銀行系(都市銀行、地方銀行)・証券会社系は、定期的な報告を行えばあまり連絡はなく比較的穏やか。
事業会社のグループ系の中には事業進捗にかなり厳しいところもあり、事業が計画通りにいかなかった場合には相当厳しいことを言われることもあった。
ベンチャーキャピタルの審査の違い
出資の審査・検討にあたっては、最初は共通して担当者が来社され、いろいろな質問や資料の要求をしてくる。それを数回行うと役員や部長クラスの人を連れて来て面談を行うことが多い。
それにパスすると
・投資委員会に呼ばれる場合
・投資委員会はなく社長との面談で決定される場合
があった。このように会社により特徴やプロセスは異なった。
投資委員会には社長や役員を含め、総勢6〜8人の人が出席されていることが多い。
担当者がぼくを出席者に紹介すると、まずはぼくが事業の概要を説明し、皆さんからの質問に答えていく形式が多かった。
もちろん出席者全員が出資に対して前向きではない場合もあり、中には否定的で意地悪な質問をしてくる人もいた。
VCの社長との面談で決定される場合は、すでに投資することはほぼ決まっていて、最終確認または出資額の最終判断のために、経営者としての資質や人となりを見極めるために行うのではないかと思った。
テレビや新聞で見かける著名な会長、社長さんにも何人かお会いしたが、皆さんとても和やかな雰囲気で話しが進み、著書にサインをしてプレゼントしてくださった方もいた。
ここまで来ると出資の可否、または出資額が当日か翌日には連絡が来ることになる。
増資の過程で出会った熱きベンチャーキャピタルの担当者たち
ベンチャーキャピタルの担当者とは、何度となく打ち合わせを行う中で、いつしか「出資をを決める!」という共通の目標ができ、強い絆が生まれることが度々あった。
あるベンチャーキャピタリストは、最初に出会った時に勤務していたVCの投資委員会で当社への出資が否決されると
「社長、次の会社では必ず決めますから!」と言って退職し、次の就職先で早速出資を決めてくれた。
その後、また転職したが、そこでも2度目の出資を決めてくれた。
彼は当社が業績不振に陥った後も度々来社してはたわいのない話をしてくれた。彼の期待に応えられなかったことは悔しくて仕方ない。恩人の1人だ。
その他、出資する前には必ず社長と1回は飲むんだという人もいた。
また上場している大手VCの担当者は、初期のラウンドでは出資せず、数回の増資を見送り、事業の進捗と他のVCの動向を見ていた。
ある時「機が熟した。」と言って大きな金額の出資をしてくれた。
ベンチャーキャピタルが株主になって知って おくこと
このように出資が決まると、それぞれ投資契約書を締結することになる。
当社の場合、最終的にはVCに割り当てた株式は価格協議の上、ぼく個人が買い戻すことになったが、投資以降、投資契約書の内容で困るようなことはなかった。あまり神経質になることはないと思う。
VCが株主になると言っても、VC自体がお金を出すわけではなく、多くはVCが組成し管理しているファンドから出資することになる。ファンドに出資しているのは機関投資家や事業会社など様々だ。
そしてファンドには期限がある。ファンドの期限が延長されることもあるが、期限までに上場ができず、期限が近づくと社長個人に買い戻してくれないかとお願いされることになる。
VCが株主になると取締役会へのオブザーバー出席を希望されるVCが出てくる。
断ることもできるが、月に一回の取締役会を開催し、業績等の報告や重要事項の協議・決定をする場に社外の人がいることで緊張感が生まれることはメリットだと思う。
あと知っておいた方がいいこととして、VCにとって自社の出資比率はとても重要のようだ。
持ち株比率(シェア)によって行使できる権利が法律で定められているためだと思う。できれば増資やストックオプションの付与等は資本政策にあらかじめ盛り込んでおくか、そうでない場合にはVC含めた主要な株主には事前にその計画を伝えておいた方がいいと思う。
こうして数回のラウンドを重ね、当初の資本政策よりも順調に進み、4億円以上の資金を調達することができた。
参考URL : ファンド(コトバンク)
参考URL : 機関投資家(野村証券)
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