莫大な作業量のIPO 準備をスタートさせた
こうしてたった3人、資本金1,000万円でスタートした会社は、数年で資本金4億円超、社員約30名、アルバイト含めて120名を超える会社になっていた。
店舗数も順調に増え、全国に50店舗になった。
遠くにあるオレンジの看板を見て某牛丼チェーンだと認識するようになるのは100店舗前後だと聞いたことがある。数年後には当然達成するだろうと確信していた。
いよいよ社長と管理本部長を中心としたIPO準備チームが立ち上がり、内部統制が機能するための社内管理体制の整備が始まった。
気が遠くなるような膨大な社内規定の作成。
各部門の責任者とともに業務のプロセスを書き出し可視化し、そして必要な見直しを協議して、それをフローチャート化していくという作業も進めた。IPO という共通の目的だったため、社員たちも概ね協力的だったと思う。
さらに当社は本社社員と店舗社員、店舗で働くパート・アルバイという異なる就業形態があるため、それぞれの就業規則や労務管理の見直しなど、コンプライアンスの強化にも取り組んだ。
ショートレビューの実施と、主幹事証券会社の選定をスタート
そして監査法人が監査契約を締結する前に、その企業の財務諸表の会計処理に関する妥当性や内部統制の整備運用状況に関して短期間で調査するショートレビュー(短期調査)というものがあり、これも実施した。
監査法人からは特に致命的な問題点を指摘されることはなく、今後見直していった方がいいという会計上の問題点や課題、今後さらに整備していく必要のある社内管理体制などについて的確なアドバイスがあった。
(大人の会社になっていくんだな〜)という実感が込み上げてきた。
また上場に際して申請会社を支援してくれる証券会社を「幹事証券会社」と言い、通常複数社を選定するようだ。
その中で中心的な役割を果たすのが「主幹事証券会社」で、上場前には内部管理体制の整備指導、資本政策の立案、上場申請書類の作成指導等をしてくれたり、上場時には募集及び売出しによる株式の引受、公開価格の決定、取引所等の上場審査への対応等をしてくれると聞いていた。
顧問の公認会計士からの勧めもあり、IPO時の主幹事証券会社の選定を考え始めた時期でもあった。
こうして当社はIPOの直前前期に入ろうとしていた。
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