悩んだ末に、ひとつの結論を出して、お願いにまわった
業績の立て直しに奔走している最中、あるベンチャーキャピタル(VC)から「ファンドの期限が近づいてきているので、社長、買い戻しをお願いできませんか?」という打診があった。
すぐに結論を出す必要はないと言われたが、調べてみると近い将来同じように期限を迎えるファンドが他のVCにもあった。
しばらくして他のVCからも同じような話が出てきたので(ここが潮時だろう)と、株の買い戻しについて真剣に考え始めることにした。
しかし、複数のVCから出資された合計数億円の現金を個人で持っているわけもなく、これにどのように対応するのがいいのか悩んだ。
そして、ひとつの結論を出した。
(今できる責任の取り方としては、とにかく今、自分ができる限りのお金をかき集めて、それを各VCの持ち株数で割った金額で買い戻しさせてもらうようお願いして、理解を得るしかない。)ということだった。
複数の預金口座から1つの預金口座にお金をかき集め、VCが投資してくれた総額には及ばない金額ではあったが、ある程度のまとまった現金を用意した。
そしてすべてのVCに説明のため訪問した。
多くは理解を示してくれたが、一部のVCは・・・
多くのVCは年一回行っていた定時株主総会で会社の状況説明を受けていたし、中には定期的に業績報告を求めていたところもあったので、説明を聞くと仕方ないと了承していただいた。
しかし「サラ金でも何でも行って金、作って来てくださいよ。」と言い放った、ある独立系VCの部長もいた。部下である担当者を前にしたポーズではあったと思うが…。
またある上場している大手VCに報告とお詫びに行くと、一度名刺交換したことのある役員が出てきて
「大変よくしていただいたにもかかわらず期待に応えられず申し訳ありません。」と言ったぼくに
「よくして損しました。」ときっぱり言われたことは印象的だった。
言われて当然だ。
最終的にはすべてのVCに同意をいただくことができ、個人で買い取ることになった。
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