先ずは頑張ってくれた役員・社員に
増資は数ラウンドに分けて行っていった。
これはIPOに向かって事業が進展してくれば、少ない新株の発行でより多くの資金が調達できるようになるからだ。
また増資以外にも数回、ストックオプションを付与する機会も設けた。これで創業初期の社員だけではなく、後から入社してくる社員たちにも付与してあげられる。
増資の順番だが、まず最初はこれまで頑張ってくれた創業時からの役員・社員たちを対象に行った。彼らには、これから上場を目指すこと、現時点で出資すればより多くのキャピタルゲイン(資産)を手にできる可能性があることを説明した。
彼らはもちろん仕事には常に前向きだったが、出資をなると考えは様々だった。もちろん無理強いすることはなかった。
そして株式分割後、いよいよ外部への新株引き受けのお願い(投資勧誘)をしていった。
多くの取引先が増資に応じてくれた
最初に外部に引き受けていただくのは、顧問の皆さんや、サラリーマン時代を含めてお世話になった取引先の社長さんたちだ。第三者割当増資を行うので出資していただきたいことを連絡し説明にまわった。
また話しはサラリーマン時代に遡るが、ある某上場企業の代表取締役副社長が、商談のために何度か来社され、その度にお会いしていた。
ある日、お帰りになるエレベーターまで見送りに行った際、扉が閉まる間際にぼくの目を直視していた。副社長の口は動いていなかったが
「お前がんばれよ!」
という声が聞こえた気がした・・・。
その後、ぼくは退職の意向を会長に伝え退職するまでの数ヶ月の間に、東京ビッグサイトで開かれていた展示会で偶然にも副社長とお会いした。
「◯◯さん、会社辞めるんだって!?次は決まってるの?」
「起業しようと思いまして。」
「それなら 出資でも何でもしてあげるから、落ち着いたら連絡しておいで。」
と数分の立ち話しだった。
時が過ぎ、第三者割当増資の際、この副社長に会いに行った。
もちろん頑張っている報告がしたいし、そして打算もあった。(会社設立して2年足らずで名もないベンチャー企業に上場会社が株主となっていただけたら信用度も増すだろうし、出資を機に何か協業の話しが進められたらいいな)と。
「覚えていますか?ビッグサイトでお会いした時に創業したら出資してやるって言われたの。今度第三者割当増資を予定していまして副社長のところも一部引き受けていただきたいと思いまして。」
「もちろん覚えているよ。よっしゃわかった。ちょっと時間をくれ。」と返事をしてくれた。
それから数週間後
「出資決まったよ。金額がは少ないけど勘弁してな。」という返事だった。
あとで聞いたことだが、この会社はベンチャー投資を行ったことがなく、社内を説得することは容易ではなかったようだ。
この会社とは何回か協業の話しはあったが、実現することはなかった。
そしてしばらくしてこの恩人が重い病気をなられたという話しを聞くことになった。
何とか入院されている病院を探し出して新幹線で会いに行ったが、これがお会いできた最後だった。
葬儀の日はどうしても参列することができず、数日後ご自宅に伺ったが(もっと活躍しているところを見てもらいたかった。)とやり切れない気持ちだった。
他にもサラリーマン時代からお付き合いをいただいていた多くの社長さんたちからも快くお引き受けのご返事をいただき、第2回目の増資が完了した。
多くの方は「応援してあげたい。」というお気持ちでのことだったと思う。当時は想像もできなかった会社の未来を考えると申し訳なさでいっぱいだ。
参考URL : ストックオプション(ストックオプションとは?仕組みやメリットなど経営者のための基礎知識 三井住友カード)
参考URL:第三者割当増資(野村証券)
参考URL:株式分割(株式公開用語辞典の解説を参照 コトバンク)
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